副鼻腔には前頭洞・上顎洞・篩骨洞・蝶形骨洞があり、鼻(腔)と繋がっています。
急性副鼻腔炎
急性副鼻腔炎とは、副鼻腔に感染が起き炎症を引き起こしている状態を言います。
症状
黄色い鼻水、多量の鼻水が喉に回る、鼻づまり、頭痛、頬や目の周りの痛み、匂いがわかりにくい、鼻の中がくさい、上の歯が痛む、発熱、咳、痰、顔が腫れる
原因
多くは風邪(ウイルス感染)に伴う細菌感染です。アレルギー性鼻炎による鼻水や鼻づまりがきっかけとなることもあります。
治療
症状の重症度によりますが、抗生剤の投与が必要であることがほとんどです。3歳未満の小さい子供、70歳以上のご高齢の方、糖尿病のある方、保育園に通っている子の家族(感染をもらいやすい環境)の方などは、適切に抗生剤を使用した方が重症化を防げます。鼻水を除去し、鼻腔にネブライザー療法を行うことで改善を早めることができます。
小児副鼻腔炎
生まれたての新生児には大人のような副鼻腔は存在しません。生後3ヶ月頃から腔(くぼみ・空間)が作られ、どんどん大きな腔へと成長します。10歳頃で大人とほぼ同じ形態に成長し19歳頃に完成します。
幼少期の副鼻腔炎は、良くなったり悪くなったりを繰り返しますが、炎症が続くと副鼻腔の発育の妨げになります。
重症化すると眼窩蜂窩織炎、眼窩骨膜下膿瘍、上顎骨骨髄炎、髄膜炎などになることもあります。
症状
黄色〜透明ねばねばした鼻水が出る、鼻が詰まる、痰が出る、痰が絡む、咳が出る、発熱、頭痛、口呼吸
原因
多くは風邪(ウイルス感染)に伴う細菌感染です。アレルギー性鼻炎による鼻水や鼻づまりがきっかけとなることもあります。
鼻の奥の耳管を通って中耳炎を併発することもあります。
治療
症状の重症度によりますが、抗生剤の投与が必要であることが多いです。鼻水はなるべくこまめに除去し、ネブライザー療法を併用すると、治りが早くなります。
慢性副鼻腔炎
慢性副鼻腔炎とは、副鼻腔炎が3ヶ月以上続くものを言います。
症状
黄色い鼻水、鼻水が喉に回る、鼻づまり、頭が重い、匂いがわかりにくい、鼻の中がくさい、咳・痰が続く
原因
急性副鼻腔炎から慢性副鼻腔炎になっていきます。
急性の炎症で副鼻腔と鼻をつなぐ部分が狭くなったりふさがったりすることで副鼻腔内の換気と排泄がとどこおり、悪循環が起こり、慢性化していきます。慢性化すると副鼻腔の貯留液による炎症産物がさらに炎症を持続させます。
治療
専門的にマクロライド療法と呼ばれる方法で、マクロライド系抗菌薬(少量)をまず3ヶ月程度内服します。ネブライザー療法も有効です。内視鏡やCTで適切に治療の効果を評価していくことが重要です。内服で改善しない場合は、必要に応じて手術などもお勧め致します。
副鼻腔気管支症候群
慢性副鼻腔気管支症候群とは、慢性副鼻腔炎に下気道の慢性炎症を引き起こしている状態を言います。
症状
ねばねばした鼻水が出る、鼻水が喉にまわる、鼻が詰まるなどの副鼻腔炎の症状と、咳、痰、息切れ、ヒューヒュー音のなる呼吸などが合わさります。
原因
慢性副鼻腔炎と慢性気管支炎、気管支拡張症などが合わさって起きることで生じます。慢性副鼻腔炎の汚れた鼻水が下に落ちることで気管支に影響が出てくるとも言われていますが、鼻の病気と気管支の病気が同時に起きる理由はまだ解明されていません。
治療
慢性副鼻腔炎と同じマクロライド療法と呼ばれる方法で、マクロライド系抗菌薬(少量〜通常量)を3〜6ヶ月程度内服します。その他、抗アレルギー薬や消炎薬など複数の薬剤を合わせて使用します。ネブライザー療法も有効です。内視鏡やCTで適切に治療の効果を評価していくことが重要です。